若葉の息吹。

polepole_tea2010-04-23

近頃雨が続きましたが、これは春雨であり、必要な雨であり、季節感をさらに醸成させる情緒なのです。
私が啓蒙する二十四節季によると4月20日頃は「穀雨(こくう)」という季節でございまして、この「穀雨」とは、穀物の成長を助ける雨のことであり、すなわち「春雨降りて百穀を生化すればなり」であります。
さて、今年はサクラの花の見頃が長い期間であったと挨拶がてらの会話を交わしたりしますが、自然の象徴は何もサクラの花ばかりではございません。例えばジョギングを楽しみ勤しむ私にとって、銀杏並木というものも非常に大きな自然の象徴でございます。銀杏並木というのは冬が近づけば銀杏の香りを充満させて黄土色の枯葉絨毯を彩る季節を想像しますが、実はそのあとの長い冬の間、銀杏並木は裸ん坊のままでずっとそこに佇んでいるのであります。黄土色に染まった並木道を走っていたら、いつの間にか並木道の枯葉も風に吹かれて飛んでゆき、裸ん坊の木々の中をひたすら前に進む。これこそ鍛錬に相応しい道なりでございます。
いや、裸ん坊の木々は冬の間、静かに大きく呼吸をしているのです。私も同じく走りながら、白い吐息を吐きながら、冬の間はここぞとばかりに防寒で身を固めて、ひたすら大きく呼吸をしていたのです。するとどうでしょうか?サクラの花が主役の季節が終われば、いよいよ銀杏並木に凛とした若葉たちが次々に登場してきます。もちろんまだまだサイズは小ぶりですが、これから沢山呼吸をし、太陽礼拝の光を浴び、大地の栄養を吸い上げ、やがて大きな葉として、私たちが走る道を緑で彩ってくれます。


このような若葉を目の当たりにしたとき…。
まさに新しい生命の息吹を感じざるを得ません…。
嗚呼、なんて季節に敏感なんでしょうか…。


さて、私が啓蒙する「七十二候」によると4月25日からは「霜止出苗(しもやみてなえいずる)」、すなわち、霜が終り稲の苗が出始めるという意味です。そうです、緑の季節がやってくる最初の季節なのです。

そういえば緑緑しい香りもしませんか?
そうです、するのですね。
だって森林達も静かにそして深く呼吸をしているからです。

今日の曇り空だってなんだか素敵な景色です。
だから昼も夕刻も自分のペースで一歩づつ前に向かって走ってみようかなぁ…。