声で一句。(2009年10月26日執筆)
ふと目が覚めた。
「ここはどこだ?」と心の中で呟いた。
夢の続きか、さては現実の世界か。
「ここはどこだ?」今度は声に出して囁いてみた。
ふと気がついた。
無意味だ。
なんて無意味な疑問をボクは声に出してしまったんだ。
そんなことは呟く前に囁く前に最初からわかりきっていることだから。
ベット脇のテーブルにはウイスキーグラスがポツリとおかれている。
まだ5ミリほどのウイスキーが残っていた。
ボクはグイッと一気に飲み干した。
焼け付くように喉が熱くなった。
このところ、とにかく雑音に悩まされてる夢を見ていた。
毎日毎晩、とにかく雑音が鳴り響く夢を見ていた。
街のざわめきや雑踏に掻き消されて、本当に大切な人の声が聞こえないような。
そんな苛立ちを覚え始めていた。
本当の声を聞かせておくれよ。
本当の声が聞きたいだけなんだ。
もう一度目を閉じて、眠りの世界へ落ちていきたかった。
でもそれは容易なことではなかった。
なぜなら、ここがどこなのか、その答えは明白なんだから。
多謝真実声
(本当の声よ、本当にありがとう)
因製歌曲一首
(よって私は一首の歌を作り)
代声述意
(声の心情を代わりに述べてみようと思う)
目が覚めて ここはどこだと声だせど 今まぎれもなく 我人生なり
(大意:目が覚めて ここは夢か現実か 声にだして 自分の居場所を確かめたとしても 答えは最初からわかりきっている ここはボクの人生だ ボクは まぎれもなく 今を生きている ボクの人生を 一生懸命に 生きているだけなんだ )