イッセー尾形のこれからの生活2010IN京都(ネタバレ有)

久しぶりのイッセー尾形さんの公演です。
ちなみに私は後援会の会員です。
なので座席がやたらと前列です。
前列になると周りのテンションが非常に高いです。
なぜなら前後左右の座席の観客が全員後援会だからです。

なぜ私が後援会に入会したのか。
それはイッセー尾形さんは現代のチャップリンだからです。
国内でも最高峰の喜劇役者さんだと思います。


さて。
この日のネタは全部で7本でした。
(ネタのタイトルは筆者が勝手につけています)

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1.徘徊お婆さん

1本目は渾身のお婆さんネタ。
徘徊してガラス工場になってきたお婆さんを。
幼馴染のお婆さんふたりが探しに来て確保し。
おでん屋さんでお湯割りを一杯飲むという設定。
前列ですと足首の角度や口元をもごもごする仕草など。
演技のディテールがすごく伝わってくるネタでした。
徘徊お婆さんが言い放つ。
ベルリンの壁は崩壊したけど、心の壁はまだ残ったまま」
のセリフは拍手喝采でした。


2,バイトあがりの若者

腰パン、金髪、ダウンジャケット。
バイトあがりで遅番のオジサンに捕まってなかなか帰れない若者。
「〜的な」「〜つうか」「〜みたいな」など若者言葉満載のネタ。
食券自動販売機でお客様とトラブル可能性は「うすいっすみたいな」。
そう滅多にないことを若者は「うすい」と言うらしい。
知らなかったけど、別に知らなくてもいいと思う。


3.非常階段の女

本日の中でも大爆笑の作品。
お局的な冷え性の中年独身女性がオフィスのパソコンが壊れ。
大塚商会の故障修理が駆けつけるまで。
オフィスと喫煙所を何度も行き来していくネタです。
男に嫌われるから煙草をやめたはずの同僚が。
久々に喫煙所に姿を見せ。
男と別れたことがわかった瞬間のこの女の顔は。
イヤラシくもあり、下品でもあり、ざまぁみやがれ感もあり。
後世に残るような面白い表情でした。
顔芸バンザイ!


4.寝違い便利屋

心臓に持病をわずらうおじいさんの便利屋さんが。
換気扇を修理に来たのだが、寝違えて首が回らず。
なかなか修理ができないという設定のネタ。
ピンポンのあとにいきなり心電図を見せるところから大爆笑。
結局自分では治ぜず、電話番号と子機とを往復して見ているうちに。
いつの間にか自分の寝違いが治ってしまった。
換気扇は修理していないのに、自分の首は治ってしまった。
ひとつひとつの動きの中で、心臓を抑える仕草が出色の出来栄えでした。


5.キャッチコピー屋

伊達メガネ、オールバック、三つ揃えスーツ。
僕はイッセーさんのサラリーマンキャラが大好きです。
うさんくさいコピーライターが田舎のコピーを考えながら。
ジャングルをさ迷うネタ。
冒頭に携帯電話でアジア各国のキャッチコピーについて。
東京の事務所にダメ出しするシーンは爆発力ありました。

「ハワイと一字違いのハノイ?」
「だったらハワイに行こうってなるじゃん?!」

「よくご存知の北京?」
「北京の何を知ってるのだ?!それを伝えるのが仕事でしょ!?」

文章では伝わりにくいですが、相当大爆笑でした。



6.サクマ式ドロップス


継続ネタらしい。
長崎でサクマ式ドリップスを売りながら。
子供たちに仮面芝居を見せる大道芸人さんのネタ。
隠れ切支丹や踏み絵のフミなど時代を象徴する仮面を被るのですが。
天草四郎の仮面だけはキラキラの仮面舞踏会みたいなやつ。
イッセーさんいわく他と差別化をはかったらしい。
天草四郎がお約束で吐く「(斜め下を見て)誰?!」というセリフ。
これがこのネタのツボでした。


7.マルクス

30年ぶりに再結成したバンド。
傾きかけたスキー場を再生するためにライブを行うネタ。
マルクス資本論を片手に朗読することから始まる。
こういう哲学めいたジャンルを扱うイッセーさんのネタは好きです。
ソ連について歌っていたバンドが気がついたら。
ソ連がなくなっていたという笑うに笑えないオチです。

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なお。
今回はすべてのネタに共通し。
ネタの終了後に一度暗転させ。
その後ミラーボールに照らされて。
ウクレレで一曲唄うという工夫がなされていました。



やっぱりライヴはいいですね。
いいもの見せてもらいました。