竜馬がゆく(第一巻〜第四巻)

polepole_tea2010-05-10

去る4月14日にこのブログで紹介した「孫正義、志を語る」に感銘を受け、十数年ぶりに「竜馬がゆく」を読み返しております。全八巻ございまして、ちょうど四巻まで読み終わりましたので、わたしなりに感じた前半の読みどころをご紹介させて頂きます。
まずこの「竜馬がゆく」を読み返すにあたり、司馬遼太郎氏が各巻ごとに設定した目次に一番注目いたしました。目次とはまさにその章のタイトルにあたる重要な部分であり、各巻あたりに8〜12個ほどの数文字の目次が設定されているのですが、この数文字の目次の並びを見ているだけで、どんなシナリオの展開になるのかをいろいろ想像してしまい、それだけでどきどきわくわくもんでございます。

まずこの壮大な前編の中でも特に私が好きな目次は2つありまして、ひとつは第一巻の一つ目の目次である「門出の花」です。この章は竜馬がいよいよ江戸の千葉道場へ剣術の修行に行く様子を竜馬が生まれ育った環境を解説しながら描かれた章でございますが、土佐の大自然の情景が目に浮かび、当時の生活の香りが漂い、いきなり読者の心を強く引き付ける序章になっています。特に竜馬が育った屋敷の縁側に咲く季節外れの桜の花びらのシーンはなんど読み返しても感動し、ほくそ笑んでしまう文章です。

ふたつめは第四巻の三つ目の目次である「東山三十六峰」です。この章は土佐藩を脱藩しながらもやるべきことがうまく見つからずに彷徨っていた竜馬が、いよいよ国事や志士活動に大いに活躍し始める時期を描いた章ですが、京の街で国事に紛争する志士たちの攘夷、幕臣、開国、勤皇など様々な「志」がせめぎ合い、衝突しあい、そして揺れ動く様子が手に取るようにわかる出色の目次でございます。
特に、当時京の街を牛耳っていた新撰組は反幕府勢力の弾圧を旗印として君臨してきたはずが、その幹部である藤堂平助山南敬助らが剣術で同門(千葉道場)であった竜馬の志に惹かれ、自分たちが信じてきた志との差異に苦しみ、迷い、そして葛藤する心中を描いたシーンは、その心中と当時の京都の東山の風景を重ね合わせながら読み進めていくごとに、息を呑み、身体には緊張感が走ります。

いやほんとに後編も楽しみぜよ。
通勤電車で読むぜよ。
頭の中は常に幕末ぜよ。

さて後輩から指摘されましたが、私が読んでいる「竜馬がゆく」は市販のものと表紙が違うそうです。きっと版を重ねるうちに表紙のデザインが変わったのだと思いますが、私はこちらの表紙がしっくりときます。長年持っているから愛着があるのです。

新装版 竜馬がゆく (1) (文春文庫)

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